03・04合併号(平成元年4月20日木曜日)


樫葉会の飛躍 ―役員組織の改革―

 会員の皆様には、実社会・大学等で御活躍のことと存じます。年月のたつのも早く、母校も創立27年になりますが、その間、県内においても多数の新設校が林立し、その中で県下中堅校としての歴史と墓盤を立派に築きあげております。
 同窓会とは辞書を引用しますと同じ学校(先生)で学んだ集まりとあります。現在その数は9,000余名となり、会員の異動の把握も非常に難しくなり、また会自体の運営も難しくなってまいりました。第1の原因は協力していただける役員の絶対数の不足、会組織の不備、資金不足等数々ありますが、一番の原因は発足当時の役員が会そのものを牽引していることで、若い役員の発言、活動の芽を摘んでいるものと思われます。そこでこのことを打開するためには思い切った組織の構造改革が必要と感じまして過日、役員会で検討審議いたしました。その結果、主たる意見を占めたものが現在の縦の線の構造に、もっと横の線を加えて、つながりのあるピラミッド型のどっしりとした安定型構造に変更すべきだということです。
 では実際にはどのようにすべきかということですがまず、若い役員の方々に活躍していただけるよう、組織の循環を良くするということです。そのためには、役員、特に3役の維新も必要でしょうが、それ以上に通常の運営を若い人達に移すということです。そのため現在あまり活用されていなかった幹事会を実際の活動部隊として、その下に広報部(会報の発行)、総務部(総会の企画、名簿等の管理・庶務)の2部を新設するとともに実務的な決定は幹事長、副幹事長、広報・総務の各部長、副部長ら数名を常任幹事とし、常任幹事会を設置し、この中で会議をするということです。この案については会則の変更も必要であり総会においても会員の皆さん方に、もう少し詳しく説明申し上げ承認いただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。私はこうした組織改革が必ずや樫葉会の活性化と会員の皆さん方に喜んでいただける組織づくりにつながるものと考えております。次の会員の皆さんにお願いいたしますことは今後、会員の皆さんの樫葉会への積極的なご支援とともに、会の本来の目的である会員の相互親睦を達成するために総会への参加はもとより樫葉会を基盤とした学年会、クラス会、クラブOB会等の催しをしていただき、会員相互のつながりを密にしていただきたいということです。そのことが、つまりは樫葉会への活性化にもつながるものと考えます。なお今回の会報は3号・4号の合併号となっておりますが、会報作りには若い役員達が仕事や学校の合間を見つけて頑張っていただいたものです。私としては、このやる気になっていただいた若い役員の心を大切に思い、さらには、この芽が必ずや明日の樫葉会を支えてくれると信じます。


進みゆく国際化 ―留学生とのふれあい―

 生駒高校では昭和60年度より交換留学生の受け入れを行なっています。県内では以前から一条高校がそれを行なっていましたが県立高校で本格的にそれを始めたのは生駒高校です。その後、県立高校でも数校がこれにならい留学生受け入れを始めている現状です。国際社会で活躍できる日本人を育成するため、このような動きは全国的なもので新設の大学・学部でも国際と名のつくものが急増しています。ともあれ本校では留学生が1年間、生徒とともに学校生活を送るなかで日本語や日本の文化を学んで帰国することは外国人の日本理解の一助となり、同時に日本人が外国語や外国人の物の考え方を知る上で絶好の機会ではないかと思います。毎年のことですが4月当初は留学生が日本語に不慣れで学校に溶けこみにくく、また生徒の方も英語力のなさを痛感しながら遠くから留学生を見守っているだけなのですが球技大会や遠足などを通してしだいに仲良しになり1年経過して留学生が帰国する際になれば涙の別れになってしまうものです。留学生は1年間、英語科や社会科の先生が中心になって日本語や日本の文化・歴史を留学生の部屋で学びます。それ以外の時間は教室にはいって生徒と一緒に授業をうけるわけです。数学などは世界共通ですから理解できますし実技をともなう体育・家庭科・音楽・美術・書道などでは大いに才能を発揮してくれます。もちろんクラブ活動にも参加して体育系では大いに汗を流し、文化系では書道・茶華道を通して日本の伝統文化を学びとります。特に文化祭では62年にはタイからの留学生が、63年にはスリランカからの留学生がそれぞれの出身国の古典舞踊を全校生徒、職員の前で演じてくれました。憶することもなく堂々と披露してくれたので会場からは拍手喝釆が鳴りやみませんでした。恒例の2月の全校朝礼でのお別れスピーチでは、それぞれの留学生が1年間、日本という国、日本人、日本の高校生を見てきて鋭い視点から意見を述べました。「日本人の生徒は教室でまじめにおとなしくしているようで、いねむりしている。」「自分の意見や考えをもっていても、けっして言おうとしない。」など日本人の私たちが普段、気づかないようなことを指摘してくれました。いくら国際化が強調されている近年の日本でも日本人が日本人自身のことに気づいていないようでは国際化の波にのっていけないのだなと感じざるを得ませんでした。
 外国からの留学生以外に本校からも異国の地で学び異文化を体験しようという生徒が続々と増えてきました。既に留学を終えて本校に復学している生徒はやはり英語のカがすぐれており、どことなく国際感覚を備えているような感じをうけます。卒業生の皆さんで既に海外旅行を経験されている方も多数おられると思います。そんな異文化体験を十代でできるなんて、たとえ時代が変わったとはいえ、うらやましいものですね。


にせもの樫葉会にご注意

 最近、よく「生駒高校の同窓会の事務局ですが」というニセ電話が会員の皆さんの家庭にかけられることが多いようです。特に以下のような問い合わせがあいついでいます。「今、同窓会の事務局からの電話で現住所と職業を尋ねられたのですが生駒高校の同窓会では、そのようなことをされていますか」というものです。わが同窓会の事務局では6年程前に電話による名簿改訂事業をした以外は一切、そのようなことを行っておりませんし、今後も行う予定はありません。今後の名簿改訂事業もすべて往復はがき等による調査の予定です。最近、脚光をあびている情報産業の中でもプライバシーに関するデータを商品として扱っている会社もありまして、手段を選ばない方法で情報を収集しています。一番ねらわれやすいのが同窓会名簿です。本事務局では会員の方のみに名簿を販売していますが、これも最近では会員の名をかたって樫葉会名簿を得ようとするデータ産業からの電話が事務局によくかかってきます。事務局では名簿を求める会員の方には失礼ながらデータ保護のため会員の生年月日等を確認させていただくことがありますが、この紙面をお借りしましてご了解を得られましたらありがたく思います。また会員の方がクラブ活動の名簿を独自で電話を利用して作られる場合があると思いますが誤解やトラブルのないよう、よろしくお願いします。


いこまおろし

 来たる5月14日、第23回樫葉会総会が行われます。現在樫葉会役員が総力を挙げて準備に取りかかっています。▼私も役員として多くの方に来ていただきたいですし、また友人に久しぶりに会えれば役員でなくとも嬉しいものです。▼一年に一度行われる総会や樫葉会はいま一つ何をしているのか分らないといった印象がありますが、そういった方は一度樫葉会総会へ来てみて下さい。また来られない方も「けんよう」にその詳細を記載していますのでお読みになって下さい。▼別に固苦しいものではありません。皆さんお誘いあわせの上、旧友に出会うつもりで来て下さい。1歩と半分でないと上がれない石段があなたを待っています。


クラス会だより

 昭和63年11月20日、母校の樫葉会館2階の和室で第1回卒業生2組のクラス会が開かれました。(幹事・須藤敏雄さん)クラス会の名前は「カマキリ会」といいます。それは担任の天埜先生のあだ名にちなんでつけられたものです。高校の体育祭のときにカマキリの人形を作って応援に汗を流したというくらいにこのあだ名は定着していて、天埜先生も気に入っておられる様子です。もちろん、この日も先生はクラス会に参加されて遠い昔に思いをはせておられました。
 このクラス会は非常に熱心にとりくまれておりまして今回で6回目を数えるそうです。会には会則があり幹事を輪番でまわしながらずっと続けておられます。その会則によると3年から5年に1度クラス会を開くということが明記されてあります。ちょうど話題がたまる期間ということで決められたようです。このあたりは、この紙面を読んでおられる他のクラス会の幹事さんも是非、参考にしていただきたいものだと思います。もともと52名という大世帯のクラスだったそうです。クラス会を重ねるたびに少しずつ参加者が減ってきたそうですが、ここ数回は20名程度で定着しておりしかもメンバーはほとんど同じ顔ぶれだそうです。今回、参加されなかったカマキリ会の皆さんも次回は是非参加していただいて大いにもりあげてもらいたいものです。この日の参加者は16名で、内7名は女性でした。女性は結婚するとなかなかクラス会には参加しにくいものです。女性参加者のおひとりにうかがうと「やはり日曜日にひとり家を離れて来るのですから夫や家族の理解が必要ですね。でも今頃は子育てから解放されたので出席しやすくなりましたよ。」と言われました。
 担任であった天埜先生は「この学年は1期生ということもあり大変印象に残るクラスです。たくさん卒業生を送り出した中でもこのクラス会が一番熱心にやっているし、私も毎回、招待されて参加しています。本当に教師冥利につきますね」と語って下さいました。先生を囲んでなごんだ雰囲気の中でなつかしい話が延々と続きました。
 この日の女性参加者の中に榎田さん(旧姓木原さん)という方がおられました。榎田さんは今春、娘さんが生駒高校を卒業されたので親子2代で樫葉会々員となられたわけです。娘さんは県の競泳の記録を次々とぬりかえ、前号の「けんよう」の「後輩の活躍」の欄でも載っている人です。お母さんの榎田さんは「娘を生駒高校に入れたかったんです。」と言われました。ご自分の体験から娘さんもこの学校で青春時代を送らせたいと思われたようです。榎田さんは娘さんからの話を聞いて「今より昔の方がずっと校則は厳しいでした。髪の長さについて指導があったり、かばんのぬきうち検査があったりして、しばられていました。私より娘の方がずいぶんのびのびと高校生活を送っているみたい。」と明るく語って下さいました。同じ学校でも時代によっていろいろ変化するものです。榎田さんはご自分を娘さんにおきかえてもう一度、生駒高校生として青春時代を送りたったようです。
 樫葉会館は本校卒業生の基金によって建てられたものですからどんどんクラス会などで利用して下さい。学校の樫葉会事務局に予約の電話を下されば確保します。またクラス会のお便りもご送付下さい。


卒業記念品沿革史

卒業期

卒 業 記 念 品 目

第1期

校旗、樫志の像、刺繍額

大時計、刺繍額

泉 水(食堂前)

温 室(本館北側)

テント

藤 棚(食堂裏)

ヒマラヤ杉 11本

テント

絵 画(職員玄関)

10

ポール時計(校庭北)

11

ベンチ、ストーブ 6基

12

校歌掲示額、ストーブ 5基

13

体育用具格納庫

14

校訓碑

15

演台、脇卓、花台

16

校舎写真パネル板

17

テント

18

丸太ベンチ(食堂裏)、体育館用いす(300脚)

19

体育館用いす(300脚)

20

体育館ステージ幕

21

温 室(本館南側)

22

体育館暗幕

23

花壇(本館、体育館間)

24

運動場放送設備


 私たちが卒業する際に母校に役立ててほしいという願いから毎年、卒業記念品を寄贈しています。事務局ではこの程、樫葉会発足以来の卒業記念品についてまとめてみました。(左表)卒業生のみなさん、卒業アルバムを開いてみて、あるいは目を閉じてみて、高校時代の登校風景を思い出してみて下さい。正門をくぐると正面には四角い大時計(2期生寄贈)が見える。10歩も歩けば左手に樫志の像(1期生寄贈)が立っている。先生方は右手の職員玄関へ、生徒らは左手の生徒昇降ロヘ分かれるが、その間に校訓碑(14期生寄贈)が立っている。昇降口の壁には大きな校舎の写真パネル(16期生寄贈)が電気で光っている。式が始まるので足は体育館に向ってゆく。体育館へ至る階段の両脇にはれんがの色あざやかな花壇(23期生寄贈)があり、そこを抜けて体育館で整列、着席する。このすわっているパイプ椅子も、ステージの幕、演台、校旗、校歌掲示額も、2階の観覧席の黒幕もすべて卒業記念品である。というふうに卒業年度によってはご存知でないものもあったと思いますが、こうして、卒業記念品は後輩の人々の役に立っています。


全国の同窓会の実態

 樫葉会というような卒業生全体の同窓会は全国各地の中・高・大学に存在します。ここでは少し視点を変えて全国の同窓会活動の実態を数字で見ていきたいと思います。
 樫葉会が毎年開催している総会は、他の学校ではどうかというと、毎年開催しているというのが最も多く60%、次いで開催していないが15%、2年毎というのが10%、となっています。会員のみなさんが最も懸念される出席者数は100名以下が最も多く65%、次いで500名以下が17%、200名以下が14%、500名以上が4%となっており出席者が少ないという問題は樫葉会だけではないようです。総会開催の通知方法は、年次役員が個々に連絡するというのが最も多く62%、次いで通知しないが16%、会報で通知するが11%となっています。樫葉会では通知方法は会報で行っています。
 しかし、「けんよう」のような会報を発刊している同窓会は全国でわずか22%しかなく、78%の同窓会は発刊していないのが実態です。発刊している同窓会での発刊周期は年1回が最も多く70%、年二回・その他が15%となっています。発送方法は年次役員が配布するというのが最も多く42%、次いで個人への郵送が31%、総会時に配布というのが21%となっています。
 現在、生駒高校校舎北側のテニスコート横にある樫葉会館のような同窓会館を持っている同窓会は全国でわずか6%しかなく、大多数の同窓会は会館をもっていないということです。
 同窓会名簿を発行している同窓会は91%であり、その内34%の同窓会が五年毎57%が10年毎に発行しているのが実態です。
 以上が全国の同窓会活動の実態です。樫葉会としては、以上のデータを参考にして改善していきたいと思います。


編集後記

 「けんよう」第3・4合併号をお届けします。樫葉会20周年記念事業の1つとして、新聞を年1回発行しようと決めたのですが昨年度は、記念事業のために予算が足りなくて、今回合併号となりました。
 去年、新聞が発行されなかったことに対して「今年は新聞がないのか」、というお問い合わせを頂き、待っていて下さる方がいらっしゃるということに、役員一同勇気づけられております。
 今年から、新聞を発行するために、樫葉会の役員会の中に「広報部」を設けることになりました。活動を活発にしていくためにも御協カお願いします。なおこんなことが知りたい、あれはどうなっているのか、など記事の御要望がありましたら事務局までどうぞ。