令和2年度第38回入学式 令和2年4月9日(木)

  

  

 晴天に恵まれた4月9日(木)、入学式を挙行することができました。
 新入生は初々しく、晴れやかでうれしそうな表情が印象的でした。
 新入生の皆さん、そして保護者の皆様、ご入学、本当におめでとうございます。
 新型コロナウイルス感染症拡散防止対策として、来賓及び在校生の列席を自粛し、西藤育有会長のみ、ご列席いただきました。
 また、残念ながら、在校生の吹奏楽やコーラスの出演はありませんでしたが、音楽科教員の活躍で、式前ピアノ専科教員の生演奏のBGM、そして、ピアノと声楽専攻教員による校歌紹介が行われ、保護者の方からも好評をいただきました。
 これからも、創意工夫しながら、教育活動を進めていきますので、皆様のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

新入生へのメッセージ(式辞より)
 春うららかな今日の佳き日に、令和二年度奈良県立高円高等学校第三十八回入学式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びであります。
 ただいま、入学を許可いたしました二百十四名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち教職員はもとより、在校生も共に、皆さんの入学を心から歓迎いたします。
 今年は、新型コロナウイルスの影響で、学校が臨時休業になり、集会がことごとく中止になるなど、全国的に不安な状況にある中で、新入生の皆さんは、心身ともに健康を維持し、見事、高校入試に合格され、本日より高円高校の一員となりました。
 高校入試をくぐり抜けることができたことは、皆さん一人ひとりの努力の賜物であることはもちろんですが、皆さんを愛情深く育ててこられた保護者の方々、ご指導いただいた中学校の先生など、皆さんを取り巻く多くの人々の力強い支えのおかげであることを、しっかりと心に刻み、感謝の心を持って、高校生活の第一歩を踏み出していただきたいと思います。
 さて、高円高校の校名について、紹介したいと思います。
 本校は、東に高円山を仰ぎ、その北に御蓋山が連なる趣豊かな位置にあります。この体育館や学び舎は、高円山山麓の傾斜地にありますが、本校造成の時の発掘調査の結果、聖武天皇の高円離宮跡と推定され、これにちなんで「高円高校」と名付けられました。
本校は、古来より、宮中大宮人が遊園し、風情を味わった地ともみえる、現在も近隣に世界遺産が控え、自然環境に恵まれた、まさに生徒の情操と芸術性を磨く、最適な場所と言えます。
 高円高校は、すべての生徒の夢を育み、芸術教育の中核を担う学校であります。ご存じのように、本校には、普通科、音楽科、美術科、デザイン科の四つの学科があり、それぞれの生徒が自信と誇りを持ち、同じ学び舎に集う友として、また、互いを認め合い、高め合い、支え合って誇れる伝統と文化を作り上げています。皆さんには、学校生活の中で是非とも心の豊かさを育てていって欲しいと思います。
 保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
 ここで、保護者の皆様にお願い申し上げます。
 家庭教育と学校教育は子供を育てるという点で、教育を飛行機に例えると右、左の両翼であります。どうか本校の教育方針をご理解いただき、次世代を担うお子様の大いなる成長のために、心を分かち合い、共に手を携え、素晴らしい成果を上げることができますようご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。本校は、新入生の皆さんの成長と大いなる志の実現のために教職員全員が一丸となって努力してまいります。
 最後になりましたが、育友会長西藤理紗様、並びに保護者の皆様のご臨席を賜りましたこと、心から御礼申し上げます。
 令和二年四月九日
          奈良県立高円高等学校長 笠置慎一

 

令和元年度第35回卒業証書授与式 令和2年3月1日(日)

       

 式 辞

 明るい春の光が柔らかに射し込み 明日への希望が膨らむ今日の佳き日、ただ今、二百十二名の皆さんに、令和元年度の卒業証書を授与いたしました。ご卒業おめでとうございます。呼名に応える姿勢や卒業証書を受ける目の輝き、凜々しい姿を目の当たりにし、私自身も感動しています。

 本日、育友会長様をはじめ、御来賓の皆様方に、卒業する生徒の門出をお祝いいただき、奈良県立高円高等学校第三十五回卒業証書授与式を挙行できますこと、心から御礼を申し上げます。日頃から本校教育に深いご理解と温かいご支援をいただき、さらには巣立ちゆく卒業生の門出に花をそえていただきましたことに、感謝申し上げます。

 また、ご多忙中、多数ご列席くださいました保護者の皆さまにおかれましては、長い間、陰に陽に細やかに気遣いながら、ここまで育ててられ、今、感激ひとしおのものがあるのではないかとお察しいたします。お子様のご卒業を心からお慶び申し上げます。

 さて、本日学び舎を巣立ちゆく卒業生の皆さんは、本校の校訓「自律・高志・創造」のもと、この三年間、勉学、部活動など高校生活に懸命な努力を続けられ、活動の一つ一つが、今、心の中で走馬灯のように、感動・感激とともに蘇っているのではないでしょうか。
 本校の教育目標である「感性を育み、心豊かな生徒の育成を目指す」を具現化され、三年間積み重ねた努力を、心から讃えたいと思います。
 卒業式は、一人一人にとって、将来への夢や希望に胸膨らませ、自覚と決意を新たにして、これから力強く逞しく、生き続けるための大事なスタートの日でもあります。
 今日という日を出発点として、一人一人が成長し、発展していくのはもちろんのこと、広い視野をもって、郷土をはじめ、日本や世界の発展に貢献する人となってもらいたいとの願いを込めて、私からの最後のお話をさせていただきます。

 令和の時代となり、「Society5.0」と言われるような超スマート社会、未来型社会を迎えようとしています。IoT、AIの発達により、私たちの生活や産業が刻々と大きく変化していきます。
 しかし、このような時代においても人間ならでは必要とされる能力として、①文章や情報を正確に読み解き、対話する力、②科学的に思考・吟味し活用する力、③価値を見つけ出す感性と力、好奇心・探求心、があげられています。
 高等学校を卒業しても、変化の激しい社会を生き抜くためには、これからも、生涯にわたって学び続けることが必要とされており、とても重要なことです。
 人は、本質的に常に知りたいという欲求、学ぶ特権を持っています。しかし、人には弱い一面もあり、卒業証書を手にしてしまうと、例えば自発的に教養を高める本を読んだり、努力をしたりすることをやめてしまう人が多くいるのは、とても残念なことです。卒業される皆さんは、高校卒業という資格を得たということだけではなく、高校で学んだことを基礎として、さらに学び続けることが重要です。
 「学んで己の無学を知る、これを学ぶという」。亀井勝一郎の言葉です。学んでみて、ああこんなことを知らなかったのかと、自分の無学さを知り、学ぶことの必要を自覚する。それが学ぶということなのだ、という意味で、学ぶことの本質をよく言い当てています。また、池上彰は、教養を「役に立つか分からないけど、ためになる」ものだと述べています。「すぐに役に立つものは、すぐに役立たなくなる」「すぐに役立たないものは、ずっと役に立つ」とも述べています。
 本校で学んだ三年間の知識や経験を基に、社会の一員として、正しい判断力と責任をもって行動し、目標を高く掲げ努力して実現し、豊かな感性をさらに磨いて心豊かに活躍してくれることを切に願うとともに、今後も常に学び続ける姿勢を忘れないでほしいという願いを、卒業される皆さんへの餞の言葉といたします。

 保護者の皆さまに申し上げます。若者が独り立ちして世の中に門出する姿は実に凜々しく清々しいものです。本校教育の基盤をなす四学科の特性を生かした取組、また、約一万人の先輩諸氏から受け継いだ数々の薫陶、保護者の皆さま方から寄せられた大きな期待、微力ながらも私ども教職員が取り組んできた日々の教育実践、これらのことにお子様は真っ向から応えてくれました。本校で学ばれたことは、必ず、世の中で十分生かされ、これから歩む道を照らすことと信じています。

 さあ、いよいよ巣立ちゆく今、皆さんにとって、母校は若き日々を過ごした証です。これからの皆さんの人生において、嬉しいにつけ悲しいにつけ、いかなる逆境の時にあっても、青春時代の一頁を綴った母校に思いを致し、そこから新たな力を沸き立たせてほしいと願っています。
 卒業生の皆さんの新たな一歩と、それに続く輝かしい未来が、健やかで幸多きものとなることを祈りつつ、私の式辞といたします。

令和元年度第3学期始業式を迎えて 令和2年1月7日(火)

 新年あけましておめでとうございます。

 年明けから、何度かくり返してきた挨拶ですが、「新年おめでとう」と言っただけで心が改まり、新しい何かが身体のすみずみまで満ちてくるように感じます。お正月がめでたいのは、年が改まって新しくなることにあり、「おめでとう」とは、長い冬が過ぎて新しい芽が出ることから生まれた言葉です。
 年が改まるということですが、1週、1か月、1か年と、時間の流れに切れ目をつけるのは人間の素晴らしい知恵だと思います。私たちは、ともすれば惰性で生きてゆきがちです。時々自分で自分の生き方を確かめ直し、決意を新たにする必要があります。自分が自分自身に約束したり決心したりするのは、いつでもかまいませんが、やはり、何かのきっかけが欲しいものです。
 こうして壇上から、みなさんの凜とした、引き締まった顔を見ていますと、新たな年を迎えて、今年に向けたみなさんの決意のほどが感じられます。
 「一日の計は朝にあり、一年の計は元旦にあり、一生の計は少壮の時にあり」といわれています。みなさんも、年頭に当たって、計画なり目標なりを立てられたことでしょう。その芽を大切に育て、充実した一年を送ろうとするところに元旦のめでたさがあるのです。
 今年の干支は「庚子(かのえね)」、子年です。中国の『漢書』では、「子」は、新しい生命が種子の中に萌(きざ)し始める状態を表しているといわれています。中国伝来の十二支は、もともと植物が循環する様子を表しているので、「子」が十二支の一番目となり、新しい物事や運気のサイクルが始まることを表します。
 この令和2年、2020年が、みなさんにとって平和で、素晴らしい一年でありますように祈りたいと思います。   

 3年生にとっては、いよいよ最終学期となりました。受験を控えているこれから決戦の時を迎えるみなさんにとっては、ここまで来れば、風邪を引かないよう十分体調を整えることも視野に入れながら、最後まで頑張り抜いてくれますよう祈っています。
 3年生が、高円山を見上げながら、芝生のグラウンドの横を通って登校してくるのもあと何回かです。一日一日を充実したものとしてください。悔いのないようにしていただきたいと思います。
 1、2年生のみなさんには、冬期休業中は、卒業後の進路について真剣に考えることをお願いしました。2学期の終業式で話をした、いろいろな場面で心がけてほしい「LOVEの法則」、Listen Open Voice Enjoy、周りの人の話をしっかり聞くこと、心を開いて積極的に取り組むこと、声に出して相手に自分の思いを自分の言葉で伝えること、そして何事も楽しんでやりましょう。この「LOVEの法則」を心にとめながら、学年の総仕上げの大切な第3学期を過ごしてください。みなさんの奮闘を祈り、新年始業式の言葉といたします。

令和元年度第2学期終業式を迎えて 令和元年12月23日(月) 

 令和元年度、2学期の終業式を迎えました。先ほどは、多くの生徒の表彰伝達をしました。それぞれ頑張ってくれたこと、その頑張りを全校生徒が祝福してくれたこと、とても嬉しく思います。本当におめでとう。 ➠表彰伝達の様子はこちら

 9月の2学期始業式では2つの話をしました。1つ目は「面白い」話です。顔が下を向いてしまう「面倒だな」と思うより先に、顔が上を向いて光を受けて白く見える、「面白いな」と言えるようになってほしい。「面白い」と思えるようにするためには、一生懸命やる、そのために行動してほしい、一歩踏み出してほしいという話でした。
 2つ目は「言葉はブーメラン」という話です。言葉は、人を呪(のろ)うことも、祝福することもできる大きな武器です。大切にしなければならない。自分の口から出た言葉は必ず自分に返ってくる、言葉はブーメランです。心を育てる上で言葉の力は大きい。「ありがとう」「ごめんなさい」という、心も肉体も癒やしてくれる言葉や、相手のいいところを見つけて伝える、そうした言葉を使ってほしい。逆に、相手にかけた嫌な言葉もまた、必ず自分に返ってきます。だからできるだけ、きれいであたたかい言葉を使いましょうという話でした。

 先日、SHRの時に、生徒指導部長の先生がSNSやLINE、ツイッター上での誹謗中傷をはじめ、犯罪行為にもつながりかねないトラブルが高円高校でも起こっている、スマホやネットの関わりについて、改めて気を付け、賢い付き合い方について考える機会をもってほしいと、放送を通して呼びかけてくださいました。知らず知らずのうちに他者を傷つけたりしてはいないか、想像する、思いを巡らせることのできるようになってほしいと、改めて思いました。

 2学期を振り返ってみてください。こうしたことを意識しながら過ごしてくれたでしょうか。

 さて、今日は、皆さんが、誇れる自分、誇れる高校生になるために、「LOVEの法則」について紹介をします。皆さん一人一人が「主人公としての自覚」をしっかりもってほしいと思います。高円高校生、高円分教室の生徒の皆さん全員が、なくてはならない存在であり、主人公です。主人公として、自分を大切にし、自分で判断し、行動しなければなりません。そのために、いろいろな場面で心がけてほしい「LOVEの法則」です。

 LOVEのLは「Listen」。英単語の意味のとおり「聞く」ということです。周りの人の話をしっかりと聞くこと。友人や先生、皆さんの保護者、またその他周りの人のいうことをしっかり聞いてください。世の中には、皆さんが思っている以上に、いろいろな人がいて、いろいろな考え方を持っています。まずは、聞くことが大事です。

 LOVEのOは「Open」のOです。何事も、心を開いて、自ら積極的に取り組んでください。心を開いていなければ、周りの意見を素直に聞いたり、前向きに行動することはできません。

 LOVEのVは「Voice」のVです。声に出して、相手に伝えることが大切です。きっと皆さんは、自分なりの考えや感想を常に持っていると思います。是非、相手に自分の言葉で自分の思いを伝えてください。「おはよう」や「ありがとう」の挨拶もしっかり声に出して相手に届けることが大事です。

 最後は、LOVEのEは「Enjoy」のEです。何事も、楽しんでやりましょう。2学期は様々な学校行事がありました。文化祭や体育大会など、楽しく取り組んでくれたと思います。これからも、勉強も部活動も、学校行事も、やるからには楽しんでやってほしいと願っています。

 「聞く」、「心を開く」、「声に出して伝える」、そして「楽しむ」、これが「LOVEの法則」です。自分が主人公としてどんな高校生活を送りたいと考えていたのか、各自の目標は何だったのか、一歩ずつ前進することはできてきたのか。「LOVEの法則」を心に留めて、2学期までの自分を振り返り、1月7日に第3学期の始業式で会えるときに、総まとめとしての3学期をどう過ごすべきなのか、前向きに実践できるように始業式に臨んでほしいと願っています。
 「高円高校に来てよかった」「高円分教室に来て良かった」と思えるよう、「LOVEの法則」をしっかりと心にとめてほしいと思います。

 明日から冬期休業期間が始まります。3年生は、進路決定に向けた追い込みの時期になります。すでに進路先が決まっている人も、現状維持ではなく、少しでもブラッシュアップしてほしいと思います。1月からの受験を控えている生徒の皆さんは、実力を発揮してください。一人でも多くの生徒の進路の希望が叶うようにこれからも応援していきます。
 1・2年生は、冬期休業中は、卒業後の進路について真剣に考えること。新しい年を迎えるに当たって、気持ちを新たに、1学期よりも2学期よりも、更に成長した高校生として3学期を迎え、これからも学校の中心となって、活躍してくれることを期待して、2学期終業式の式辞とします。良いお年を迎えてください。

令和元年度第2学期始業式を迎えて 令和元年9月2日(月)

 令和元年度、2学期の始業式を迎えました。今日、こうして元気に登校してきてくれたこと、大変嬉しく思います。
 2学期を迎えるに当たって、2つの話をします。

 1つ目は、「面白い」話です。以前に、薬師寺の大谷徹奘さんの話を聞いて、大変印象に残っているお話です。
  明日から、2学期の授業が始まります。授業中は、どんな姿勢で受けていますか。
 まず、①自分の嫌いな授業中の態度をしてください。次に②自分がいちばん好きなことをやっている時の態度をしてください。
 ①つ目は、腕組みをして目を閉じ、下を向く、まさに、面(かお)が倒れて「面倒」の姿となります。面倒という言葉は、口にすると自分で自分をふさいでしまうのだそうです。
 ②つ目は、目標をにらみつけるような眼差しの顔をしてくれています。昔から目標を太陽に譬え、その太陽に照らされ、光が当たって、面(かお)が白(あかる)くなるので面白いと言うそうです。面白い=興味を持ってみつめている。これがまさに「面白い」姿と言えますね。
  1学期の授業参観で、皆さんが、とても積極的に授業に臨む態度が印象的でした。今日の皆さんの顔も、上を向いていてとても明るく見えます。「面白い」表情でいてくれて、とても嬉しく感じています。勉強も仕事も、面白くやるとどんどんはかどるようです。
 面倒を繰り返していると無感動になり、行動できなくなってしまいます。「まあいいや」と一歩引き、「もういいや」とあきらめて、「どうでもいいや」と捨ててしまう。こんな生き方してて、本当にいいのでしょうか。「ここまで」と思ったら、「そこまで」です。
 面白くやるためにはどうすれば良いか?その点、人は良い性質を持っています。一生懸命やれば、それが面白くなってきます。これが人なんです。では、一生懸命やるためには?とりあえず行動してみるということでしょう。踏み出せばその一足が道となります。
 「面倒だな」と思うより先に「面白いな」と言えるようになりたいですね。授業を面白くし、生徒の皆さんの心に火を付けるにはどうするか。これは、私たち教員もしっかりと向き合っていきたいと思います。

 2つ目は、「言葉はブーメラン」という話です。
  「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」をはじめ、数多くのヒット曲を生んだ阿木燿子(ようこ)さんをご存じでしょうか。阿木燿子さんは、作詞家、エッセイストとして活躍されましたが、かつて、新聞で、言葉の持っている力について、「言葉は、人を呪(のろ)うことも、祝福することもできる大きな武器。大切にしなければ。」「自分が発した言葉は、自分自身に返ってくる。言葉はブーメランです。」と書いておられました。
  夏休みに入る頃に、吉本の芸人の方が、いわゆる闇営業で報酬を手にしたか否か、当初は、「闇組織に関与は一切ない」「報酬は受け取っていない」と否定していました。しかし、実際には噓がばれ、事件そのものよりも、信用を一気に失墜させたり、会社との関係が悪くなった。会社側も、芸人のことよりも世間体を気にしてか、意思の疎通ができずに、信用を失墜するに至りました。「言葉はやはり返ってくる」ということです。政治家も、何気ない発言で、大臣の椅子を失ったり、政治生命が絶たれたりすることもあります。
  心を育てる上で言葉の力は大きいものです。言葉の本質はブーメランであり、自分の口から出た言葉は必ず自分に返ってきます。そして心は土壌といえます。愛情ある言葉のタネをまけば、やがてすばらしい花が咲き、果実が実ります。普段から人にも、自分にも、どんな言葉をかけているかが大切です。
 「めでたい」「楽しい」「幸せ」を口癖にしてほしいと思います。言葉は大きなパワーをもっています。中でも、「ありがとう」「ごめんなさい」は、魂も肉体も癒やしてくれる言葉です。
 相手に贈った祝福は、また自分に戻ってきます。逆に、相手にかけた嫌な言葉は、必ず自分に戻ってきます。
 もしも精神が肉体をつくり、肉体が精神をつくるという循環の中でセルフメディケーションが行われるのなら、なるべくプラス志向の言葉を唇にのせたいなと思います。そうすると、相手も元気になると思うのです。「顔色悪いわよ、調子悪いんじゃない」というよりも、相手のいいところを見つけて伝えるようにする。ちょっとでも目が輝いていたら、「今日は輝いているわね」と言うようにする。そう言われると相手も「今日は輝いているかもしれない」と思って、少しのことなら乗り切れる気になります。
  言葉は大切です。人に言った言葉は自分に返ってきます。だからできるだけ、きれいであたたかい言葉を使いましょう。
 人体はあじさいの花のようなもので、たくさんの花弁やがくが集まって「私」ができています。その一つ一つに敬意を払いながら喜びの花を咲かせたいと思います。花には水を、人には優しく温かい言葉を。

 終わりに、3年生はすでに進学・就職に向けた取組も始まっています。高円祭、体育大会、修学旅行と行事も目白押しです。気持ちを新たに、一学期よりも成長した高校生として活躍してくれることを期待しています。

令和元年度第1学期終業式を迎えて 令和元年7月19日(金)

 令和元年度、1学期の終業式を迎えました。高円高校と高等養護学校高円分教室は、これまで別々に始業式や終業式を行ってきましたが、初めて同じ時間、同じ空間で行います。
 みなさんは、「共生社会」という言葉を聞いたことがありますか。
 「共生社会」とは、「誰もが相互に人格と個性を尊重しあいながら、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会」のことを言います。
 高円高校は、高等養護学校と共に、共生社会の実現に向けて、両校の生徒がお互いに経験を広め、社会性を養い、多様性を尊重する心を育むことを目指して、平成28年4月から、両校が共に同じ校舎で学び、交流及び共同学習を行ってきました。
 両校の生徒の皆さんは、卒業後はともに同じ社会で生きていきます。実社会への準備段階ともいえる高等学校の中で、共に学ぶ時間を共有できることはとても大切です。お互いに、自然に支え合い、認め合う力が育ち、あるがまま、正々堂々と生きていくことができると考えます。
 これからも、チーム高円として、仲間同士、共に学んでいきたいと思います。

 さて、三者懇談が終わりました。担任の先生から今回の成績のこと、夏期休業中の過ごし方、将来の目標設定についてなど、様々な話が合ったことでしょう。納得のゆく成績を修めた人、不甲斐ない結果に終わった人、様々だろうと思います。いずれにしても、改めて、しっかりと1学期を振り返ってみてはどうでしょうか。
 四月の入学式や始業式で、三つのことをお話しました。学校は学びの場だ、学校は小さな社会だ、学校は楽しいところだ  ということです。

・あなたはしっかりと学校で学びましたか。勉強だけでなく、部活動などと両立できましたか。
・あなたは自らを律する精神をもっていますか。正しい判断力をもち、責任を持って行動できましたか。
・あなたは将来に明確な志を持っていますか。目標を高く掲げ、実現に向かって懸命に努力しましたか。
・あなたは学校という集団の中で、自己を見つめ、他者を理解し、よりよい学校をよりよい社会を作ろうと行動できましたか。
・あなたは学校に自ら参画し、参加する姿勢をもてましたか。
・あなたは己の弱さを克服できていますか。

 もしこれらが満足できる水準に達していないなら、大いに反省しなければなりません。「時は得難く、失い易し」なのです。砂時計の砂は、皆さんの指の間から、止まることなく流れ落ちている、ということを忘れてはなりません。限られた時間の中で、精一杯取り組んでいただきたいのです。
 今、この時を節目として、自分を振り返り、初心に返って頑張ろうという気持ちになっていることと思います。私が皆さんに切に願うのは、その「志」を持続させて欲しいということです。

 進路ガイドブックの巻頭の校長挨拶として、自分を見つめ、将来を思い描き、進路を考える際に「4つのC」を大切にしてほしいと書きました。
 Chance(チャンス)機会をつかみ生かす
 Choice(チョイス)様々な情報の中からやる気をもって主体的に選択する
 Challenge(チャレンジ)目標をもって自分の可能性を信じて挑戦する
 Change(チェンジ)自分をよりよくするために変える
 この夏休みに、とりわけ、日頃できないことなど、様々なことに「Challenge」してほしいと思います。

 3年生の多くのみなさんは部活動を引退し、自分の大きな夢の実現に向け、次のステップへの準備をしていることと思います。1・2年生のみなさんは、生徒会、部活動等の中心となって、取り組んでいることと思います。高円祭への準備や、部活動の公式戦、コンクールのための練習など一人一人持てる力を出し切って頑張ってほしいと思います。
 2学期始業式で、一人一人、一皮むけ、たくましさを身に付け、元気な挨拶、笑顔いっぱいで登校してくれることを祈念しています。