11月24日(木)、「課題研究α」の公開講座「なぜ『坂ノ途中』を設立したのか」が行われました。

この日は「株式会社 坂ノ途中」代表の小野 邦彦 様を講師としてお迎えしました。

講演内容は小野様の学生時代の話から会社を設立した経緯、将来の展望など多岐にわたりました。

小野様は大学時代にたくさんの海外旅行を経験されており、その経験や大学時代から温めていたものが形になっていったものが「株式会社 坂ノ途中」だそうです。

「株式会社 坂ノ途中」は100年後も持続可能な農業を目指して設立されました。現在の日本の農業では、化学肥料と農薬を用いて生産される農産物が99.5%を占めています。無農薬や有機肥料だけに頼って生産されている農作物はごくわずかという現状です。化学肥料や農薬を使うのは、雑草・害虫・病気といった生育や収穫に大きな影響を及ぼすであろうものに対して、薬効を直接効かせることにより生育や収穫量を維持しているからだそうです。たくさんの収穫を維持しないと、不揃いの形やサイズや少し傷んでいる等の規格外品までをも出荷しなければならなくなり、大量出荷の維持が出来なくなるからだそうです。また、農業従事者の高齢化も、手間暇のかかる無農薬や有機肥料だけの農業がなかなか受け入れられない理由であり、今後の農業全体の課題です。

 新規に農業に従事し始めた方々が、生産した有機農法や無農薬農法で生産した農作物は、そもそも生産量が少ないので流通に乗せにくい。また、とれた農作物の販売による農業収入が少なく、継続的な営農が困難であるなどの課題を抱えています。

 そこで、「株式会社 坂ノ途中」では、有機農法や無農薬農法で生産された少量の農作物を集め、趣旨に理解のある方々にインターネットを利用して販売する、というビジネスを始められました。

 「株式会社 坂ノ途中」の趣旨に賛同した多くの小規模農家の方々とのつながりが出来て、会社の経営も軌道に乗っているそうです。

 講演後の質疑応答でもたくさんの質問が出て、一つ一つ丁寧にお答えいただきました。

 課題研究でも「何が課題となっているか」を見つけ出すことができれば、その研究は半分終わったも同然なので、小野様の課題を発見する力やその課題を明確に言語化する力が素晴らしいと感服させられました。

 出席した生徒たちもとても良い影響を受けてくれたことが、講演後の感想文からも伝わってきました。

 畝傍高校では、学校内の授業だけで教育が完遂するわけではなく、学校外のさまざまな機関・人材からあらゆる機会を通じて学ぶために、このような学習の場を設けております。