惜別のご挨拶

 本校は、昭和55年、平城山の地に設立されて以来42年間の歴史を歩んでまいりました。昭和56年7月に発表され、約40年間歌い継がれている校歌には「清新・明朗・真摯」という本校の校風を表すにふさわしい歌詞が謳われています。そして、真摯な学習への取り組み、学校行事への積極的な姿勢、部活動での躍動、卒業生の皆様一人ひとりの成果の積み重ねにより本校は成長し、平城高等学校の伝統を創り上げました。その伝統ある平城高等学校は、今年度末をもって閉校を余儀なくされました。今日までの歴史の重さと同窓生の皆様の母校に向ける心情を思う時、言葉では表しづらい思いを抱いているところです。

 平成21年度に創立30周年を迎え、その記念事業の標語として「笑顔の数だけ夢がある」が選ばれました。この標語は本校正面玄関に大きく飾られ、毎朝の登校時に本校生徒を勇気づけました。創立30周年を記念し、愛校歌として創られた「夢の道標」や平成16年度卒業式より式歌としての合唱が始まった「ぬくもりの日々」は、本校生全てが共感できる歌詞や親しみやすいメロディであることから、卒業式での卒業生退場時に歌い継がれました。平成18年度に本校に設置された「教育コース」は教員志望の卒業生を毎年輩出し、多くの方々が教育界に貢献されています。平成29年に「教育コース」のスピリットを受け継いだ「教育キャリアコース」を開講し、教育界に貢献する人材を育てる取組を継承しました。地域連携活動は加速し、より多くの行事等において本校生は活躍を続けました。令和元年度には本校創立40周年を迎え、テーマ標語として「いつも心に平城心を!」を掲げて、様々な教育活動を展開しました。今後は、平城高等学校での学びを活かし、卒業生の皆様が各方面において「平城心」を胸にご活躍なさることと期待しております。

 閉校が決まって以来、私達教職員一同は卒業生の皆様が刻まれた素晴らしい歴史に恥じない学校づくりをして最後の卒業生を送り出すまでベストを尽くそうと決意しました。特にこの1年間は、最後にふさわしい年にするため、生徒と教職員が一丸となって諸行事に取り組みました。最後の平城山祭や体育大会では、生徒全員が各自の役割をしっかり果たして大会を成功させました。加えて多数の保護者の方々も来校され、行事を盛り上げてくださいました。一昨年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、地域の皆様や同窓会の皆様との行事は、中止や縮小を余儀なくされましたが、多数お寄せいただきました皆様からの温かい御支援の気持ちに対し深く感謝した次第です。最後の卒業生は、この3年間の思い出と充実感に浸って巣立っていくことと思います。

 終わりに、42年間の長きにわたり、本校を支え平城高生を慈しみ育てていただきました地域の皆様、御指導御支援をいただきました歴代校長をはじめ旧職員の皆様方の御努力に敬意と感謝の意を表しますとともに、本校に関係する全ての皆様方の今後の御多幸をお祈りいたしまして、惜別のご挨拶といたします。

 

奈良県立平城高等学校  
第16代校長 金子博和