ただいま、入学を許可いたしました361名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校への入学を心より歓迎いたします。保護者の皆様、お子様のご入学、おめでとうございます。
皆さんは義務教育の課程を修了し、自らの意志で本校への進学を決意され、本日晴れて入学式を迎えられました。今、皆さんの胸中は、これから始まる高校生活への夢と希望で、いっぱいのことと思います。本日の喜びは、皆さんのたゆまざる努力の成果であることは、言うまでもありませんが、これまで熱心にご指導いただいた中学校の先生方や、皆さんの健康をいつも気遣いながら、そっと辛抱強く支えてくださった保護者の優しい励ましのたまものであることを決して忘れてはいけません。このことをしっかりと胸に刻み、「感謝の気持ち」をもって高校生活を踏み出してください。

本校は昭和30年代半ば、戦後のベビーブームの世代の人たちが高校進学を控え、住宅地として発展していました当時の生駒町、現在の生駒市に「県立高校を」という地域の方々の熱い思いによって、昭和38年4月に開校いたしました。そして、本日、第59期生の入学式を迎えました。2万人を超える数多くの先輩方が、本校の校訓「剛毅、敬愛、創造」を行動の指針とし、奈良県をはじめ日本全国だけでなく世界の各地、各界において社会の発展に多大な貢献をされていることは本校の誇りです。校訓の「剛毅」とは、本校の校章にもなっています、樫の木のように堅い意志をもち、困難に打ち勝ち、前進すること。「敬愛」とは、人権尊重の精神に徹し、自他への愛情に基づく人間関係を深めること。「創造」とは、自ら学び、考える力をつちかって、自己実現を目指し、社会に貢献すること。この校訓は、生駒高校で学んだ人たちにとって共通の精神となるものです。新入生の皆さんには、このことを誇りとして守り、伝えていく役割を担うことになります。本校の校歌や校章にも示されています樫の木は、とても丈夫で堅い木です。「決して途中で諦めたり、へこたれたりしない。最後の最後まで全力で頑張り抜く。」という樫の木の精神をしっかりと身に付け、「真面目に一生懸命頑張ることが格好いい」という本校の良き校風を受け継いでください。

さて、新入生の皆さん、入学式の意義は、その校風に従い、先輩たちが築いてこられた輝かしい歴史と伝統と、その誇りをしっかりと受け継ぎ、さらに発展させるように学習に、部活動に精進する誓いを立てるところにあります。
まずは、今日から始まる本校での3年間をどのように過ごすかという目標を定めることが大切です。高校時代の3年間を有意義に過ごすためにも、自分自身がどうなりたいのか、何を身に付けたいのか、何を成し遂げたいのか、明確な目標を設定してください。目標がないと、努力をしようにもどれだけ努力を重ねて良いのかもわかりません。まずは、明確な目標を立ててください。
そして、目標を実現するために、計画を立て取り組み、努力を重ねることが必要となります。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、「人間は目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。」と言っています。
人生の醍醐味は、目標を設定したときに味わうものでも、目標を達成したときに味わうものでもありません。現状から目標に向けて行動する道のり、努力を重ねている道のりにおいて、人生の醍醐味や幸福を味わうものです。
先日、水泳の池江璃花子選手が東京オリンピック代表に内定したというニュースがありました。
池江選手は、2016年のリオデジャネイロオリンピックに高校1年生で出場、100メートルバタフライで5位に入賞し、東京オリンピックでの金メダルが期待されていました。ところが、2年前に白血病であることが判明し、およそ10か月の入院生活などをへて、昨年8月に水泳競技に実戦復帰。今月四日の日本選手権100メートルバタフライに出場し、見事に優勝されました。
池江選手は、「勝つための練習もしっかりやってきました。自分がすごくつらくて、しんどくても努力は必ず報われるんだなと思いました。」と話しています。
努力が報われたと実感できるとき、それが人生の最大の幸福ではないでしょうか。毎日、努力を重ねていたからこそ、「努力が報われた。」という言葉が出るのです。振り返れば、その日々が最も充実した時間であったと思います。
どうか、皆さんも、3年後、本校を卒業するときに、3年間の高校生活を振り返り、充実した毎日であったと実感できるように、しっかりとした目標をもち、努力を続けてください。

保護者の皆様、お子様が高校での3年間を充実したものとするためには、生徒自身の努力はもちろんですが、保護者の皆様と私たち教職員がともに協力し、支え合っていくことが何よりも大切と考えます。どうか、保護者の皆様方の力強いご支援、ご協力をたまわりますよう重ねてお願い申し上げます。

本日の入学式は、現在の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、規模を縮小し実施いたしました。本校としましても、感染の拡大防止に努めてまいりますが、新入生の皆さんには、どうか感染のリスクを避ける行動をお願いします。毎日の体温の測定や手洗い、消毒を徹底し、感染防止をお願いします。

最後に新入生の皆さん、3年後、「生駒高校に入学して本当に良かった。充実した高校生活を過ごすことができた。」と心から言えるように、日々の精進を期待します。生駒高校の教職員は皆さんを全力で支援していくことを約束いたします。
新入生の皆さんが、今日の感激を忘れず、生駒高校で学ぶことに誇りをもって、健康で安全安心な、そして意義のある高校生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

令和3年4月9日

                                                          奈良県立生駒高等学校
                                                              校長 八重 幸史