式 辞

 ただいま、入学を許可いたしました360名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。本校への入学を心より歓迎いたします。そして、保護者の皆様、お子様のご入学、おめでとうございます。
 皆さんは、9か年の義務教育課程を修了し、自らの意志で本校への進学を決意され、本日晴れて入学式を迎えられました。今、皆さんの胸中は、これから始まる高校生活への夢と希望で、いっぱいのことと思います。本日の喜びは、皆さんのたゆまざる努力の成果であることは、言うまでもありませんが、これまで熱心なご指導により導いてくださった中学校の先生方や、皆さんの健康をいつも気遣いながら、そっと辛抱強く支えてくださった保護者の優しい励ましのたまものであったことを決して忘れてはいけません。このことをしっかりと胸に刻み、「感謝の気持ち」をもって高校生活を踏み出してください。

 本校は昭和30年代半ば、戦後のベビーブームの世代の人たちが高校進学を控え、住宅地として発展していました当時の生駒町、現在の生駒市に「県立高校を」という地域の方々の熱い思いによって、昭和38年(1963年)4月に開校いたしました。そうして、本日第58期生の入学式を迎えました。これまでの1万9千名を超える数多くの先輩方が、本校の校訓「剛毅、敬愛、創造」を行動の指針とし、奈良県をはじめ日本全国だけでなく世界の各地、各界において社会の発展に多大な貢献をされていることは本校の誇りです。校訓の「剛毅」とは、本校の校章にもなっています、樫の木のように堅い意志をもち、困難に打ち勝ち、前進すること。「敬愛」とは、人権尊重の精神に徹し、自他への愛情に基づく人間関係を深めること。「創造」とは、自ら学び、考える力をつちかって、自己実現を目指し、社会に貢献すること。この校訓は、生駒高校で学んだ人たちにとって共通の精神となるものです。新入生の皆さんには、このことを誇りとして、守り、伝えていく役割を担うことになります。本校の校歌や校章にも示されております樫の木は、とても丈夫で堅い木です。「最後の最後まで頑張りぬく。」という樫の木の精神をしっかりと身に付け、良き校風・伝統を受け継いでください。

 さて、新入生の皆さん、入学式の意義は、その校風に従い、先輩たちが築いてこられた輝かしい歴史と伝統と、その誇りをしっかりと受け継ぎ、さらに発展させるように学習に、部活動に精進する誓いを立てるところにあります。
 そして、今日から始まる本校での3年間をどのように過ごすかという目標を定めることが大切です。高校時代の3年間を有効に過ごすためにも、自分自身がどうなりたいのか、何を身に付けたいのか、何を成し遂げたいのか、明確な目標を設定してください。目標がないと、努力をしようにもどれだけ努力を重ねて良いのかもわかりません。まずは、明確な目標を立ててください。
 しかし、目標を立てただけでは前に進むことはできません。本校の玄関には「今月の言葉」という掲示があります。昨年度、次の言葉が掲示されていました。
「計画のない目標は、ただの願い事に過ぎない。」
これは、「星の王子さま」で有名な作家サン・テグジュペリの言葉です。目標を立てた。しかし、何も努力をしないでは、実現するはずもありません。神様への願い事に過ぎません。何かの偶然で実現するかもしれませんが、その可能性は極めて低いものです。
 目標が定まれば、その実現に向けて、計画を立て、1年生の1学期までのはこうなりたい。2学期には、3学期には、と。3年間の計画を立てて取り組みことが大切です。そうすることで、夢が実現するのです。どうか、その第一歩を今日から歩み始めてほしいと思います。

 保護者の皆様、お子様が高校での3年間を充実したものとするためには、生徒自身の努力はもちろんですが、保護者の皆様と私たち教職員がともに協力し、支え合っていくことが何よりも大切と考えます。どうか、保護者の皆様方の力強いご支援、ご協力をたまわりますように重ねてお願い申し上げます。

 本日の入学式は、現在の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、規模を縮小し実施いたしました。本校としましても、感染の拡大防止に努めますが、新入生の皆さんには、どうか感染のリスクを避ける行動をお願いします。毎日の体温の測定、登校時、教室に入るまでの手洗い、昼食時に友だちと向かい合わせで食事をしないなど、感染防止をお願いします。

  最後に新入生の皆さん、3年後、「生駒高校に入学して本当に良かった。充実した高校生活を過ごすことができた。」と心から言えるように、日々の精進を期待します。生駒高校の教職員は皆さんを全力で支援していくことを約束いたします。
 新入生の皆さんが、今日の感激を忘れず、生駒高校で学ぶことに誇りをもって、健康で安全安心な、そして意義のある高校生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

  令和2年4月9日

                                                          奈良県立生駒高等学校 
                                                            校長  八重 幸史