校長からのメッセージ 2015.8
奈良県立生駒高等学校長からのメッセージ
Message from Principal of Ikoma Senior High School
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「豪雨、台風、猛烈な暑さ」という印象が残る2015年の夏休み。皆さんはどのようにこの期間を過ごしたでしょうか。
7月23日に、日本人宇宙飛行士、油井亀美也(ゆい きみや)さんが国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在のためにロシアの宇宙船ソユーズに乗って飛び立ちました。8月19日に打ち上げられた日本の無人補給船「こうのとり」5号は油井さんが操作するロボットアームによりキャッチされ、25日にISSとのドッキングに成功しました。地上からは若田光一さんがサポートしていました。
宇宙での日本人の活躍や日本の技術力の高さを示す7月から8月にかけてのニュースを聞いて、ワクワクした人も多いと思います。一連のニュースをきっかけにJAXAのwebページを見ていると、油井さんの『宇亀日記』(そらかめにっき)に出会い、読み進めるとともに、油井さんの生き方に関心をもちました。
長野県の川上村で育った油井さんは、子どものころ美しい星空に憧れて宇宙飛行士になりたいとの思いをもったのですが、非現実的ということから防衛大学校に進んだそうです。卒業後航空自衛隊に入隊し飛行隊での活動の後、防衛大学校で教官を務める傍ら、自衛隊の中核となる幹部自衛官を教育する指揮幕僚課程に進むため受験します。先輩の指導を受けて準備を進めるものの1回目の受験で希望はかないませんでした。紆余曲折があり、油井さんはテストパイロットコースに入校し、テストパイロットになると同時に、再度挑戦した指揮幕僚課程の試験に合格し、宇宙飛行士になる上で重視されているリーダーシップ・フォロワーシップについて学ぶ機会を得たのです。すばらしい先輩との出会いとともに油井さんの大変な努力があったからこそのことと思います。2009年2月、油井さんはJAXAより宇宙飛行士候補者として選抜され、2011年7月、ISS搭乗宇宙飛行士として認定され、訓練が始まります。2012年、ISS長期滞在の決定後も訓練が継続され、今回のISS長期滞在の開始に至ります。
2014年11月5日投稿の『宇亀日記』~努力は決して自分を裏切らず、明るい未来の可能性を拓く!~の文章から心惹かれた部分を引用したいと思います。
(指揮幕僚課程の試験の)「一度目の不合格で、諦めていては、それまでの1年間で向上した小論文の実力を生かすことは出来ず、そして指揮幕僚課程で学ぶ事もなく、結果として宇宙飛行士になることも出来なかった筈です。結果が直ぐに出なくても諦めずに努力を継続する事で、自分自身の未来の可能性を切り拓く事が出来るのです!皆さんには、きっと自分が思う以上の能力が秘められていますよ!そして、結果に関わらず努力を継続する人には、必ずその努力をサポートしてくれる仲間が現れる筈です!失敗は諦めずに努力を継続する人にとってのみ、成功の種なのです!私もミッションへ向け努力を継続しますので、一緒に頑張りましょう!」
油井さんの『宇亀日記』を読んで、私は大変元気と勇気をいただきました。「努力」は地味な言葉ですが、生きる上で忘れてはならない大切な行いだと思います。
2015年8月26日(水)