盲学校 学校長日誌(5)

打って出る盲学校とは

10月に全国盲学校長会が静岡で開催され、私も参加しました。全国67校の盲学校(または視覚特別支援学校など)のほとんどの校長先生が参加されており、全国の盲学校の結束の強さを感じることができました。
そのときの大会テーマが「打って出る盲学校」です。最近はこのことばが合言葉のようになっているようです。校長会のテーマとしては少し違和感もあるのですが、やはり全国的に盲学校の幼児児童生徒数が減少する中で、外に向かって盲学校のよさを積極的にアピールし、幼児児童生徒の確保につなげようという盲学校関係者の熱い思いが、このことばに込められているのだなあと感じます。
この「打って出る」とは具体的にどのようなことを意味しているのか、と少し考えてみました。直接的には宣伝、広報活動などを指すと思われるので、本校でおこなっている「学校見学・体験会~いくナラみるナラ盲学校~」のようなものをイメージすればよいのでしょう。実際に同様の学校見学会は多くの盲学校でおこなわれており、数百人単位の参加者を数える学校もあると聞きます。
ただ、学校見学会などの取り組みと幼児児童生徒数とが直結するかというと、そこはなかなか難しいものがあります。本校では実際に見学会の参加から入学につながった事例はあるので、見学会の意義はたいへん大きいとは思っていますが、全体の入学者数からみれば一部です。
それでは実際の入学希望の方はどのような経過をたどって来られるのかというと、地道な教育相談活動や地域支援の取り組みなどの延長上にあると言えます。医療や福祉機関、保健師さんなどとのネットワークをしっかり構築すること、個々に応じた視覚支援のあり方などを専門的にアドバイスできる力量を教員集団がつねに持っておくことなど、本校がすでに今までにもやってきたことを今後も途切れずに続けていくことが「打って出る」ために絶対必要な条件ではないかと思います。
もう一つ大事なことは、現に盲学校に在籍している人たちへの教育が魅力あるものになっているか、ということです。教科学習、自立活動、専門教育など本校がカバーしている範囲はかなり広範囲ですが、少人数で個々に応じた指導ができるというメリットを最大限に生かして、とても豊かな教育がおこなわれていると実感できれば、それは在籍しているみなさんの日々の様子に自然に表れてくると思います。
つい先日、本校でも第53回文化祭が実施されました。幼稚部から専攻科までの幼児児童生徒と教職員が一丸となって取り組み、劇や音楽などの舞台発表、作品展示、模擬店などに取り組む様子は、今現在の奈良盲学校がとても生き生きとした取り組みをおこなっていることを表現し、盲学校の魅力を保護者や卒業生や一般の方々に示す絶好の機会となりました。参観された学校評議員の皆さんからも大変高い評価をいただくことができました。このような日々の教育活動を通じて勝負し成果を出すことが基盤となり、その上に広報活動が乗っかることで入学希望者の目に映る、ということを期待したいものです。教育実践の下支えがないのに広報活動だけがあっても打って出ることにはつながりにくいでしょう。
2学期になっていろいろな学部の授業をじっくり見せてもらう機会が増えました。どのクラスでも、少人数のよさを生かして、じっくり丁寧に指導されており、子どもたちや生徒のみなさんもとても楽しくかつ真剣に学んでいるなあと感じています。保健理療科や専攻科理療科では国家試験に向けて高度できめ細かな指導がなされ、生徒のみなさんは高い志を持ちながら勉強に励んでいますが、彼らも一方で文化祭のような場面では幼小中高の子どもたちと協力しながら、学校全体を盛り上げることに一役も二役も買って出てくれていました。みんなが奈良盲という大きな家族の中で、励まし合い助け合いながら学んでいる様子を実感しました。
打って出るためにはまずこのような日常の取り組みを我々がよく自覚し、きちんと整理し、それをもとにしてどのようなアピールのしかたが効果的かを考えていく必要があります。打って出るためのミクロ(地道で充実した日常の取り組み)とマクロ(積極的な外向けの広報活動)のほどよい組み合わせこそ、盲学校の将来展望につながる「打って出る」道だと思います。