理科部
理科部です(2022)
農業クラブプロジェクト研究班「Flowers」と合同で活動しています。メンバーは合わせて3年生8名、2年生7名、1年生2名で活動しています。それぞれが好きな実験や観察、栽培、飼育など行っています。
・振動による発芽促進(テクノ愛2020全国大会奨励賞)
微振動を与えることにより、発芽が促進される種(しゅ)があることが分かってきました。現在は、振動の周波数 によって発芽勢がどのように変わるか、調べているところです。また栄養繁殖にも利用できないかどうか調べています。最下欄のナラノヤエザクラの挿し木も一部に微振動を与えています。
最初期の実験の様子
振動数を変化させ植物の種類ごとに発芽促進に最適な振動数を探っています。
・バタフライガーデンの普及(ボランティア・アワード2022全国大会出場)
西田原本駅の花壇に蝶が好む蜜を出す花を植えています。また近隣の幼稚園や小学校にもバタフライガーデンを広めています。明日香村で整備中の「ちょうちょランド」にも吸蜜植物の苗を提供しています。また西田原本駅の花壇の土壌改良には県内の製薬会社の協力でミミズ糞土を使い、廃棄物の有効活用についても研究しています。施設園芸科のWebページもご覧ください。西田原本駅の花壇は「福祉交流花壇」として地域の高齢者の健康増進にも役立つようにしています。
ブッドレアに来たツマグロヒョウモン
平野幼稚園のバタフライガーデン
西田原本駅のバタフライガーデンの説明表示
・奈良県絶滅危惧種ナガオカモノアラガイの生活史の解明
奈良県下最大級の繁殖地が敷地内にあり、そこで定期的に貝の数や大きさを調べています。また、飼育にも挑戦し、4月下旬、孵化に成功したところです。孵化してすぐの稚貝の撮影にも成功しています(日本初かも?)。今、世代交代が進み、稚貝が日に日に大きくなっているところです。また屋外ではヒメオカモノアラガイの稚貝もいるようで、その区別に困っています。ちなみにヒメオカモノアラガイは奈良県野生生物目録に載っていません。
孵化直後の稚貝(超レア!)
・奈良県におけるヒガンバナの稔性と発芽
同質3倍体であるヒガンバナは種子ができないといわれていますが、昨年、明日香村や橿原市等で採種に成功し、現在、発芽試験を行いました。
黒光りしているのが種子 手前が根(牽引根)
完成した鱗茎
コヒガンバナでない普通のヒガンバナでも発芽能力のある種子を希につけることが分かりました。かなり確率は低くなりますが、発芽し鱗茎まで形成するものも数株確認しています。今後は、親株の染色体の確認と花粉の観察を予定しています。また、8月下旬には比較用にコヒガンバナの自生地も訪問する予定です。
温度条件を変え、休眠していたヒガンバナの鱗茎から発根させることができました。染色体の観察の練習に使うつもりです。
・ナラノヤエザクラの挿し木繁殖に挑戦!
東大寺様から特別に許可をいただき、ナラノヤエザクラの緑枝を分けていただきました。ありがとうございました。挿し木できないといわれているナラノヤエザクラですが、ずっと考えていたあるアイデアを活かし、挿し木実験を始めています。
奈良教育大学の松井先生からご指導ご助言をいただきながら、穂木を採取しました。この角度からの大仏殿は一生見ることができないかもしれません。
穂木の調整でとった葉は記念に押し葉にすることにしました。托葉と葉柄の蜜腺が特徴的でした。
いよいよ天挿しで試験開始です。奇跡の発根を期待して…。植物成長調節剤の使い方を工夫しています。
なかなか厳しい結果です。生存率1/60…。枯死した挿し穂と何が違うのか調べています。微振動ありの試験区のみ生き残りました。
この生き残った1本ですが、7月末に3枚のうち2枚の葉が枯れてきました。そこで8月に入ってすぐ思い切って植え替えました。発根はしてなかったですが、大きなカルスが切り口にできていました。かなり大きいので枝を軽く引っ張るとまるで根が出ていると勘違いしてしまうぐらい抵抗がありました。植え替え時にもう一度、発根を促すため植物成長調節剤を使いました。
冷蔵処理した枝で管挿し、密閉挿しでの試験も始めました。また、照明付き恒温器を使い、温度一定で発根に挑戦します。多くはカビに覆われ枯死してしまいましたが、現在のところ2本生き残っています。
いにしえの ならのみやこの やえざくら きょうここのえに においぬるかな