~在校生送辞~

冬の寒さが和らぎ校庭の木々の芽も少しずつふくらみを増し柔らかい日差しに春の訪れが感じられる今日の佳き日、晴れて卒業を迎える310名の卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。在校生を代表し心よりお祝い申し上げます。

桜が咲き誇る中、真新しい制服に身を包み、これから始まる高校生活に期待で胸を膨らませると同時に、不安を抱きながら桜井高校の門をくぐられてから早や3年の歳月が経とうとしています。今先輩方は桜井高校で過ごした大切でかけがえのない日々を昨日のことのように思い出しているのではないでしょうか。

2年前、入学したばかりで緊張していた私たちに先輩方が優しく声をかけてくださり、すぐに高校生活に馴染むことができました。先輩方と共に過ごした日々の思い出が蘇ってきます。

今年の「桜華祭」では各クラスが工夫を凝らした模擬店や素晴らしい演出の有志ステージで「桜華祭」を盛り上げてくださいました。

体育大会ではクラス一丸となり、全力で競技に取り組まれている姿はとてもかっこよく、クラスメートを応援している様子にクラスの深い絆を感じました。

学校生活の中で、いつも先輩方はリーダーシップをとってくださいました。

部活動では先頭に立ってわたしたちを導いてくださいました。

先輩方と日々の練習の中で一つの目標に向かって努力し、いつもやさしく時に厳しく私達を指導してくださったことや、共に喜び、時には涙したことも、すべてが今では大切な思い出となっています。

私たちを励まし高めてくださった先輩方から学んだことは私たちにとってかけがえのない財産であり、しっかりと受け継いでいかなければならないと思っています。

本日より先輩方はそれぞれの人生を歩み出されます。

先輩方は何事にも全力で取り組む力、目標に向かって努力する力をこの桜井高校で培ってこられました。

自ら選んだ道に自信を持ち、これからの輝かしい未来に向かっていかれる先輩方を私たちは心より応援しています。

時には道が厳しく、くじけそうになったり不安になったりすることもあると思います。

そんな時は、桜井高校で学んだことや、3年間ともに過ごしたかけがえのない仲間、私たち後輩、そして先生方の笑顔を思い出してください。桜井高校で過ごした3年間はきっと先輩方のこれからの人生の大きな力になると思います。

いよいよお別れの時となりました。明日からは先輩方がいらっしゃらないのだと思うと、とても寂しく、不安な気持ちでいっぱいです。

しかし、先輩方が受け継ぎ、築いてこられた伝統を私たちが立派に引き継いでいくことをここに誓わせていただきます。そして先輩方に教えていただいたたくさんのことを胸に、桜井高校をより一層素晴らしい学校にしていこうと、在校生一同、決意を新たに頑張っていきます。

どうかご安心ください。

最後になりましたが、先輩方のご健康と一層のご活躍をお祈り申し上げ、送辞を結ばせていただきます。

令和2年3月1日 在校生代表 山本 希梨

~卒業生答辞~

厳しかった冬の寒さも和らぎ、春の訪れを感じさせる季節となりました、この佳き日に私達卒業生310名のために、このような素晴らしい卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます。また、御多忙の中、御出席くださいました御来賓の皆様、先生方、保護者の皆様、そして残念ながらここにはいませんが、在校生の皆さん、卒業生を代表し御礼申し上げます。

思い返すと、桜井高校に入学してからの3年間は、本当にあっという間でした。3年前、緊張と不安でいっぱいだった合格発表の日、昇降口の上に出されたボードに自分の番号を見つけた時の喜びは今でも忘れられません。そして、真新しい制服と慣れないネクタイを身につけた入学式では、新しく始まる生活への不安や心配を抱くと共に、大きな期待を膨らませていました。しかし、そんな不安や心配は当時何も分からなかった私達にあらゆることを教え、助けてくださった先輩方によって消えていきました。心強い存在であると同時に、学校行事や部活動など、あらゆることに全力で取り組む先輩方の格好いい姿は、私達の憧れとなりました。

1年生での初めての行事は校外学習でした。晴天に恵まれ、先生方や新しくできた友人と話をしながら明日香を目指して歩きました。球技大会で奮闘したり、文化祭が近づけば、夏休みや放課後に協力して準備を行ったり、体育大会に向けて早朝や昼休みを使い、大縄跳びや二十人二十一脚の練習もしました。1年生の最後の行事のカルタ大会では、冬休みに百人一首を覚え、寒い体育館で耳を澄ませながら札を取り合いました。最後の札で畑井先生が『ちはやぶる』を詠み上げた時、どこからか「やっぱり詠まれたな」という声が聞こえてきたのをなぜか覚えています。中学とは違った新しい体験の多い1年間でした。

2年生になり、私達も先輩という立場になってからは、憧れた先輩を目標に日々努力しました。しかし、思うようにいかず失敗したり、悔しい思いをしたり、自分の実力不足に情けなさを感じることもありました。そんな時、互いに協力し合い、共に乗り切った仲間との日々も今では大切な思い出です。

2年生での大きな行事は文化祭と修学旅行でした。

文化祭では、1日目に舞台発表を行うため、その発表に向けての練習を夏休みから何度も行いました。私のクラスはダンスの発表で、ダンスが苦手な私はできるのかと不安になりました。ですが、何人ものクラスメートに教えてもらい、ぎこちなさはありましたが、だんだんと踊れるようになっていくのが嬉しかったです。部活動があったりと大変な中での練習でしたが、発表後には大きな達成感を感じました。各クラスが劇をしたり、Tシャツや振りつけを工夫していたりと、それぞれの個性が表れた素晴らしい発表となりました。一般公開の年で、翌日もさらに盛り上がった2日間はとても短く感じました。

2つ目の修学旅行で、一般コースは九州へ行きました。民泊先では郷土料理を作って食べたり、仕事の体験をしたり、夜には満天の星空を見ることもできました。船で海のドライブに行ったという人もいました。他にも軍艦島を見に行ったりと、様々なことを学び、体験をすることができました。英語コースはフィリピンのセブ島、書芸コースは台湾と、行き先や学んだことは違いましたが、貴重な体験をしたと聞きました。

そして、2年生最後の行事の三輪山一周走歩大会では、1年生の時に悪天候によって走ることのできなかった本来のコースを走ることができました。山の辺コースとは違い、山に入ってからは勾配の急な坂道が続きました。そして、中間地点を過ぎた後は、足を滑らせないように木や紐に捕まりながら慎重に山を下りました。学校に着くと、育友会の方々が温かい豚汁を作ってくださっていました。食べると手の震えが止まり、疲れが消えていくようでした。育友会の皆さん、そして準備をしたり応援したりしてくださった先輩方、先生方、ありがとうございました。

3年生になると残り少ない行事に力を入れる人が増えていきました。しかし、将来について考え、進路を決めなければならない重要な年でもあるため、春から夏、秋、冬へと季節が移り変わっていくと、朝早くから夜遅くまでCDRで勉強をする人や休み時間になると疲れて机の上に顔を伏せて眠る人も増えていきました。

そんな私達の学校生活を支え、導いてくださった先生方の存在は本当にありがたかったです。進路については親身になって相談に乗ってくださったり、面接練習を何回もしてくださったり、分からないことを丁寧に教えてくださったりと、授業や部活動だけでなく、日々の生活面等あらゆる場面でお世話になりました。本当にありがとうございました。

将来の話をすれば、やりたいことをやりなさいと背中を押して応援してくれた家族にも、とても感謝しています。これまでの18年間、いつも温かく見守り、支えてくれてありがとうございました。八つ当たりをしてしまったり、迷惑をかけてしまっり、我儘を言ったこともありました。ですが、辛いときにはそばにいて、話は何でも聞いてくれました。これから先、まだまだ教わることもあり、お世話になると思いますが、私からも家族に恩返しができるように、そして尊敬する両親や祖父母のような人になれるように頑張っていきたいと思います。

次に、在校生の皆さん、先ほどは心のこもった祝辞をありがとうございました。皆さんには、部活動や委員会として、文化祭や体育大会といった行事等で、たくさん支えてもらいました。生徒会の後輩達にも助けられたり、先輩である私達が気付かされることもありました。2月10日の3年生を送る会でも、長い時間をかけてムービーを作り、準備してくれたのだと思うと、感謝と感動で涙が溢れてきました。本当にありがとうございました。

私達は今日でこの桜井高校を去ります。これからは皆さんがこの桜井高校の伝統を引き継ぎ、次の世代へと繋いでいく番です。

高校生活は長いようで短く、あっという間に過ぎていきます。辛いこともあると思いますが、周りには手を差し伸べてくださるたくさんの方々がいることをどうか忘れないでください。そして、後悔のないように、一日一日を大切に3年間を楽しんでください。

そして、今日共に卒業する皆さん、3年間本当にありがとうございました。私事ではありますが、生徒会活動を行う中で、皆さんには何度も助けていただきました。両手いっぱいに荷物を抱えていれば、手を貸してくれた同級生、公欠で受けられなかった授業のノートを見せてくれた友人、生徒会活動内のあらゆる面で支えてくれた役員の仲間達、本当に感謝しています。この学年で生徒会活動ができて、本当に良かったです。この学校で皆さんと出会い、3年間を共に過ごし、そして今日共に卒業できることを心から嬉しく思います。

しかし、私はまだ実感が湧かず、明日もまだ高校生活が続いているような気がします。朝学校に来れば、友人同士や先生方と挨拶を交わす声が聞こえ、教室では休日や家での何気ない出来事を話し合い、笑い合うクラスメートの姿がある、休み時間になれば、食堂に行く人や勉強を始める人がいて、放課後になれば、部活動に励む人達の声や音が聞こえる、そんな当たり前の日々がもうなくなってしまうと思うと、とても寂しく思います。ですが、私達はこれからも一歩一歩進んでいかなければなりません。進む道はそれぞれ違いますが、桜井高校での経験や思い出を胸に、そして桜井高校生であったことに誇りを持って歩んでいきたいと思います。

最後になりましたが、これまで私達を支えてくださったすべての方々に改めて御礼申し上げるとともに、桜井高校の今後の益々の発展を心より祈念して、答辞とさせていただきます。

令和2年3月1日 卒業生代表 中山 愛理